観光

立佞武多(たちねぶた) @ 五所川原

2009. 8. 8

暦のうえでは8月に入ったばかりですが、東北の夏祭りは終盤を迎えようとしています。青森の佞武多や秋田の竿燈、仙台の七夕などの主な祭りは、曜日にかかわらず、日にちが固定されているので、必ずしも週末に当たるとは限りません。今年も、祭り巡りをしたかったのですが、結局訪れることができたのは、青森県五所川原市の立佞武多のみでした。とは言え、「青森の佞武多もいいけれど、立佞武多もすごいよ。」と聞かされていたので、是非見てみたいと思っていた祭りではありました。五所川原は、弘前の北、津軽半島の付け根にある市で、冬には地吹雪体験ツアーができるところです。到着後、時間があったので、『立佞武多の館』の展示室を訪れました。
P8080075 室内には大型立佞武多が3台展示されていましたが、その大きさには度肝を抜かれました。いただいたパンフレットによると、そのおおよその高さは、7階建てのビルに相当する約22m(台座約10m+人形約12m)、総重量約17トンとのこと。その照明については、電球約800個、蛍光灯約40本を使用しており、これは一般家庭10軒分の電力に相当するのだそうです。

P8080136 展示室の内部は楕円形になっていて、大型立佞武多を取り囲むように、壁に沿って、螺旋状の廊下があります。ここを歩いて下って行くことで、立佞武多をさまざまな角度から観察することができます。

大型立佞武多は、約1年かけて立佞武多製作所が製作しますが、運行に使用されるのは、3年間。因みに、この立佞武多は2007年に製作されたもので、今年が最後となります。そして、上の立佞武多が今年デビューする新作なのだそうです。

Img_5914 2007年製作。「芽吹き心荒(うらさ)ぶる」

悲しい事件が続く昨今。「悪の芽が芽生える」の言葉どおり、芽が伸び、角になり、鬼と化す前に、自らの悪の芽を摘む心の強さを持ってほしいとの願いが込められています。

Img_5919 2008年製作。「不撓不屈(ふとうふくつ)」

今世はさまざまな不安や悩みを抱え、疑心暗鬼になり、人々の心を乱している。しかし、そんなときこそ、自らの信念を貫き、どんな事態にも強い意志で 自分の信じる道を進んだ戦国時代豊後の武将立花道雪の不撓不屈の精神を学び、現代社会を力強く生きてほしいとの願いが込められています。





Img_5916 2009年製作。「夢幻破邪(むげんはじゃ)」

今の世、子供たちへの言われなき犯罪や、お年寄りへの詐欺、暴力が氾濫している。それは一人ひとりの心の奥底にある自己中心的な邪心によるもの。一人ひとりが自らの邪心に怒りを込め薙ぎ払い、明るく優しい未来を築きたいという願いが込められています。






Img_5910 パーツをアップするとかなりの迫力!です。

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Imgp2751 19時になると同時に、通りの信号が消えました。祭りは、地元出身の歌手、吉幾三さんのテーマソング『立佞武多』で「始まります。さすがプロ、歌声に迫力があります。「ヤッテマレ!ヤッテアレ!」の掛け声は、昔、他町会の佞武多を壊していた風習=喧嘩佞武多の名残で、「壊してしまえ!」の意味だそうです。

Imgp2761 吉幾三さんを乗せた移動ステージに続いて現れたのは、あすなろ大太鼓。五所川原の夏祭りには欠かさず出陣するようです。直径3.2m、全長3.6mで、片側上3人、下4人の叩き手が必要なのだそうです。

Imgp2775 続いて、青森佞武多と同型の(但し、かなりコンパクト!)佞武多が数台運行されます。

Imgp2777 いよいよ立佞武多の登場です。中型の立佞武多は町内会や学校などの団体が自主制作したもの。歴史上の人物を題材に取り上げているのがほとんどでした。例えば、弁慶.....。

Imgp2787 独眼竜政宗.....。

Img_5939 前田慶次など.....。

大型立佞武多はさすがに無理ですが、中型立佞武多や佞武多の中には、比較的スペースの取れる交差点に入ってくると、曳き手(佞武多を引っ張る役目の人)たちが佞武多をくるくると回転させたり、揺らしたりしてサービス、観客からもひと際大きな歓声があがり、拍手が巻き起こります。

P8080163 そして、取りを飾るのは、『立佞武多の館』に展示されていた大型立佞武多です。『立佞武多の館』の側面の壁が開いて、出動!です。

Img_5953_2 展示室で見たときも迫力がありましたが、外に出ると、何かしら、生命が宿ったような不思議な雰囲気がありました。町を行く立佞武多を見ながら、昔見た怪獣映画を思い出してしまったのは私だけでしょうか.....?

これら佞武多や立佞武多の運行の間々に、花笠音頭や盆踊りなどを踊りながら歩く踊り手や、跳ねまくる跳人(はねと)、変装や変わったメイクを楽しんで参加する化人(ばけと)などが祭りを更に盛り上げていました。とにかく、ものすごいエネルギーです。短い夏を思いっ切り楽しもうとする東北人の、一種執念のようなものを感じました。

祭りも終わりに近付き、町中を吹き抜けていく風は、すっかり秋の気配を感じさせるものでした。

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